どうせ抜ける乳歯、なぜ治療するの?乳歯のむし歯を放っておくと起きること
乳歯の奥歯は10〜12歳まで残り、かむことと大人の歯の場所を守っています。乳歯のむし歯を放っておくと起こりうること、今のむし歯の管理の考え方、次の健診まで待ってはいけないサインをまとめました。
ひと目でチェック
- 乳歯の奥歯は10〜12歳まで残り、かむこととスペースを守ります
- むし歯を放っておくと痛みが出て、永久歯にも影響することが
- すべてのむし歯をすぐ削るわけではありません。まずは診てもらって
「どうせ抜ける歯なのに、治療しないといけないの?」保護者の方から本当によく聞かれる質問です。子どもがまだ小さくて、治療をつらがりそうだと、なおさら迷いますよね。乳歯の役割と、むし歯を放っておくと起こりうること、そして今はむし歯をどう管理しているのかをまとめました。
乳歯の役割と、放っておくと起きること
乳歯はすぐに抜ける歯のように感じますが、思ったより長く働きます。前歯は比較的早く抜けますが、乳歯の奥歯は10〜12歳ごろまで残ります。その間、乳歯はこんな仕事をしています。
- かむこと:子どもがいろいろな食べものをよくかんで食べられるようにします。
- 話すこと:言葉を覚える時期に、音をはっきり出せるように助けます。
- 場所を守ること:下で育っている大人の歯が生えてくる場所を守ります。
むし歯を放っておくと、こんなことが起こりえます。
- 痛みと感染:むし歯が深くなると痛みが出て、歯ぐきが腫れたり膿がたまったりすることがあります。
- 食事や睡眠への影響:むし歯がひどい子の多くは、痛みや食事・睡眠の問題を抱えています。痛くてうまく食べられないと栄養にも影響し、園での生活や学ぶことにも支障が出ることがあります。治療のあと、睡眠・食事・痛みがよくなったという報告があります。
- 大人の歯への影響:乳歯の根の先の炎症は、すぐ下で育っている大人の歯に斑点ができたり、生え方に問題が出たりする原因になることがあります。
- 歯並びへの影響:乳歯を早く失うと、大人の歯が生える場所が狭くなり、歯並びがでこぼこになることがあります。
- 新しいむし歯:むし歯がある子は、ほかの乳歯や大人の歯にもむし歯ができるリスクが高くなります。
子どもが痛いと言わないからといって、大丈夫とはかぎりません。小さな子は不快感をうまく言葉にできないので、片側だけでかんだり、かたい食べものを避けたりする様子として表れることもあります。
今は「むし歯の管理」と考えます
以前は、穴のあいたむし歯は必ず削って詰めるものと考えられていました。今は、むし歯の深さや子どもがどのくらい協力できるかに合わせて、いくつかの方法から選ぶ「むし歯の管理」と考えます。
- フッ素塗布で、初期のむし歯がそれ以上進まないようにします。
- むし歯の進行を止める薬を塗ります。
- 仮の詰めものをしておいて、時間をかせぎます。
- 詰めものをしたり、深ければ神経の治療をしたりします。
ですから、すべてのむし歯をすぐに削る必要はありません。ただ、様子を見るか治療するかはおうちで決めることではなく、歯科で状態を診てもらったうえで歯科医師が判断します。保護者の方は、こんなことを心がけてください。
- 乳歯のむし歯でも、歯科で状態を診てもらいます。「どうせ抜ける歯」と先のばしにしません。
- 選択肢とメリット・デメリットを聞いてみます。子どもの年齢や協力できる程度に合った方法は何か、それぞれ何が期待できるかを聞いてみましょう。
- 乳歯を早く抜いた場合は、保隙装置が必要か聞いてみます。大人の歯の場所を守る装置です。
- 治療のあとも、生活習慣を一緒に変えていきます。甘いおやつの回数と歯みがきを管理します。生活習慣がそのままだと、むし歯はまたできてしまいます。
よくある質問
子どもが小さくて、治療に耐えられなさそうです。
そういうこともあります。治療するかどうか、どう治療するかは、子どもの年齢、むし歯の深さ、協力できる程度によって変わります。進行を止める薬や仮の詰めもののように、負担の少ない方法で時間をかせぐこともあるので、歯科医師に相談してみましょう。
前歯のむし歯も治療が必要ですか?
前歯も、かむことや話すことを助け、大人の歯が生えるまで場所を守っています。前歯だからと放っておかず、歯科で状態を診てもらって方法を決めましょう。
痛いと言わなければ、大丈夫なのでは?
むし歯は、痛みがないまま進むこともあります。子どもが何も言わなくても、定期健診で状態を確認することが大切です。
治療したのに、またむし歯ができました。
むし歯があった子は、新しいむし歯ができるリスクが高くなります。甘いおやつの回数、1日2回のフッ素入り歯みがき粉での歯みがき、寝る前の歯みがきをあわせて見直し、歯科と予防法を相談してみましょう。
こんなときはすぐに受診しましょう
- 歯ぐきが腫れている、または膿が見えるとき
- 夜に歯が痛くて目を覚ますとき
- 片側だけでかむ、またはかたい食べものを避けるとき
- 顔が腫れている、または熱も出ているとき
- 歯に穴が見える、または茶色や黒いところが大きくなってきたとき
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出典
- AAPD · Policy on Early Childhood Caries (ECC): Consequences and Preventive Strategies (2025)
- AAPD · Management of the Developing Dentition and Occlusion in Pediatric Dentistry (2024)
- AAPD · Policy on Hospitalization and Operating Room Access for Oral Care (2024)
- Dent J (Basel) · Public Health Aspects of Paediatric Dental Treatment under General Anaesthetic (Thomson) (2016)
この記事の情報は一般的な教育を目的としたもので、歯科医師による診療に代わるものではありません。お子さまの状態については歯科医師にご相談ください。