赤ちゃんの歯は今つくられています:妊娠中の歯の発育とお母さんの栄養
赤ちゃんの乳歯は、妊娠6週ごろからつくられ始めます。おなかの中で歯が育っていく過程と、特別な食べものよりバランスのよい食事が大切な理由をまとめました。
ひと目でチェック
- 乳歯は妊娠6週ごろからつくられ始めます
- 特別な食べものは不要。大切なのはバランスのよい食事
- ほかのサプリメントはまず医師に相談してから
赤ちゃんの歯は生まれてしばらくたってから見えてきますが、実はもうお母さんのおなかの中でつくられています。今何を食べれば赤ちゃんの歯が丈夫になるのか、別にとるべきサプリメントはあるのか、気になる方も多いでしょう。妊娠中に赤ちゃんの歯が育っていく過程と、お母さんが気をつけたいことをまとめました。
おなかの中で赤ちゃんの歯が育っていく過程
赤ちゃんの乳歯は、妊娠6週ごろからつくられ始めます。このころはまだ歯の形ではなく、歯ぐきになる場所の中に、小さな歯のもと(歯胚)ができる段階です。この歯のもとが妊娠期間を通じて少しずつ形を整え、だんだんかたい歯へと育っていきます。
ですから、赤ちゃんが生まれるときには、外からは歯が一本も見えなくても、歯ぐきの中ではすでに乳歯20本が育っているのです。これらの歯が、生まれてから時間をかけて一本ずつ歯ぐきから出てきます。最初の歯は、ふつう生後6か月前後に見えてきます。
ここで覚えておきたいことがひとつあります。歯は骨や皮膚と違って、一度つくられると、つくり直されることはありません。 できあがったあとは、傷ついても自分で埋まることはないのです。だからこそ、歯がつくられている今、お母さんがバランスよく栄養をとることに意味があります。
とはいえ、特別な食べものや高価なサプリメントが必要なわけではありません。赤ちゃんの歯に必要な材料は、ふだんの食事にまんべんなく含まれています。バランスよく食べることが、いちばん確実な方法です。
バランスのよい食事を、こんなふうに
おおげさな献立より、毎日こつこつ続けることが大切です。
- カルシウム:牛乳、チーズ、豆腐、骨ごと食べられる小魚などを、毎日少しずつとります。
- たんぱく質:肉、魚、卵、豆などを、毎食添えます。
- ビタミンD:ビタミンDを含む食品もあわせてとります。カルシウムが体でうまく使われるのを助けてくれます。
- サプリメント:産婦人科ですすめられた妊婦用のサプリメントを続けます。
- 水と食事:のどがかわいたり小腹がすいたりしたときは、甘い飲み物やお菓子の代わりに、水と食事でおぎないます。
お母さんがよくしてしまう失敗は、「赤ちゃんの歯にいい」と聞いて、カルシウム剤やほかのサプリメントを自分の判断で追加することです。すでにとっている妊婦用のサプリメントと重なることがあるので、それ以外のサプリメントは医師に相談してから加えるのが原則です。
甘い飲み物やおやつを減らすのは、お母さん自身の歯のためにもなります。つわりや空腹のせいで少しずつ何度も食べていると、お母さんの歯がむし歯になりやすくなります。お母さんのお口の健康は、生まれてくる赤ちゃんのお口の環境にも影響するので、今から気をつけておけば一石二鳥です。
つわりがひどくて、バランスよく食べるのが難しい時期もあります。そんなときは、食べられるものから食べて大丈夫です。栄養が心配なら、ひとりで悩まずに産婦人科に相談してください。
よくある質問
赤ちゃんの歯のために、カルシウム剤を別にとったほうがいいですか?
ほとんどの場合は、バランスのよい食事と、産婦人科ですすめられた妊婦用のサプリメントで十分です。別にカルシウム剤を加えたいときは、まず担当の医師に相談してください。
フッ素をとれば、赤ちゃんの歯はより丈夫になりますか?
妊娠中に赤ちゃんの歯のためにフッ素補充剤をとることは、すすめられていません。お母さんがフッ素入り歯みがき粉で一日2回みがくのはお母さんの歯を守るのに役立ちますし、心配する必要もありません。
特にとったほうがいい食べものはありますか?
ひとつの食べものが赤ちゃんの歯を丈夫にするわけではありません。カルシウム、たんぱく質、ビタミンDを含む食品を、いろいろバランスよく食べるのがいちばんです。
今、歯科で特にしておくことはありますか?
赤ちゃんの歯のために、歯科で特別にすることはありません。ただ、お母さんの健診をまだ受けていなければ、妊娠していることを伝えて予約しておきましょう。
赤ちゃんがお母さんの歯からカルシウムを奪うというのは本当ですか?
すでにできあがったお母さんの歯から、カルシウムが抜け出して赤ちゃんに行くことはありません。妊娠中にお母さんの歯や歯ぐきに起こる問題は、たいてい歯ぐきの炎症、つわり、頻繁な間食と関係があります。きちんとみがいて健診を受けることが、お母さんの歯を守る道です。
こんなときは歯科へ
- 妊娠してから、まだ歯科健診を受けていないとき
- 歯ぐきが腫れて血が出ることが、2週間以上続くとき
- 歯がしみる、痛くて食べにくいとき
- つわりでよく吐いたあと、歯がしみる、前歯の先が薄く見えるとき
- 治療せずに残しているむし歯があるとき
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出典
- AAPD · Perinatal and Infant Oral Health Care (2025)
この記事の情報は一般的な教育を目的としたもので、歯科医師による診療に代わるものではありません。お子さまの状態については歯科医師にご相談ください。